タンクや樽に入っているドリンク類を、タップなど蛇口からコップに移し替えるなどして販売することがありますが、dPackではそのタンク内の在庫を管理することも可能です。
ここでは、次のような販売形態について説明します。
POS商品 | 在庫管理したい商品 |
---|---|
350mlのカップ | 地ビール樽(20リットル) |
500mlのカップ | |
1リットルのボトル |
この例では、店頭に置かれているビールの入った樽があり、そこからお客様の買いたい量が入れられるカップやボトルを選択してもらって、その容器ごとに値段が決まっているという量り売りの例をみてみましょう。
(1)商品登録(バーコード管理したい場合)
まず、POSの商品マスタの登録は以下のように設定します。マスタは自動連携なので、在庫管理したい商品も登録しておきます。(JANコードを使いたい材料はすべてPOSから登録する必要があります)

もし樽の状態で販売しない場合には、画面上で間違って商品選択してしまわないように、POSの商品一覧画面で表示されないように、販売ステータスを「販売停止」の設定にすることで非表示にできます。(地ビール樽20ℓという商品をPOS画面では表示しないように設定しました。)
(注意) この販売ステータスの設定は、後述するdPackへのデータ連携が完了したあとから行なってください。POSに新規登録した時に最初から「販売停止」に設定すると材料マスタのデータ連携が行われません。 もし、販売停止の状態で新規登録してしまった場合には、いったん販売中状態(販売停止の選択を外す)にすると、再度データ連携が行われて材料マスタの新規登録が行われます。 |

dPackには商品マスタと材料マスタに自動的にコピーされる設定をしているので、次のようにそれぞれ自動連携して品目登録されています。
dPack商品マスタ(売上分析用)にはPOS商品がそのまま登録されています。
(注意) POSとdPackのデータ連携には少なくとも5分、長くて10分程度のタイムラグがあります。完全なリアルタイム連携ではありませんのでご注意ください。 |

dPack材料マスタ(在庫管理用)にもPOS商品がそのまま登録されていることが確認できました。

もし、この材料マスタに登録した品目で在庫管理や棚卸をするのなら、このままで良いのですが、量り売りの場合には、仕入先から納品された品目は「地ビール樽(20リットル)」ですので、その材料(仕入先の商品)を新しく登録します。
POSから自動的に材料マスタまでデータ連携した場合は、社内管理単位(在庫の数量の単位)が「個」になっていますので、ここで「ミリリットル(ml)に変更しました。
また、材料には在庫管理や棚卸にも参考にできるよう、写真画像を登録することができます。

ここで材料マスタを開いたついでに、地ビール樽から量り売りでビールを注ぐペットボトルを登録しておきます。
ペットボトルはそのまま販売することもなく、在庫管理にJANコードも使用しませんので、POSから商品登録する必要はありません。dPackの材料マスタから新規登録します。JANコードは無くても、欠品してはいけないので、在庫数だけは管理したいということがあり、消耗品としての在庫管理が可能です。

ここでは、材料コードをXから始まる10桁で消耗品だと判別しやすいように3種類の材料を登録しました。
(2)材料構成の変更
さて、次は販売する商品と在庫管理したい材料が異なることを構成マスタに登録していきましょう。もういちど設例を見てみます。
POS商品 | 在庫管理したい商品 |
---|---|
地ビール350ml(のペットボトルで販売) | 地ビール樽(20リットル) |
地ビール500ml(のペットボトルで販売) | |
地ビール1リットル(のペットボトルで販売) |
このように、POSでカップやボトルに詰められた商品として販売された場合に、在庫管理に使用するために登録した材料「地ビール樽」からその販売数量を引き落とししていきたいわけですので、次のように、商品と材料の関係を「材料構成」マスタを使用してその関係を登録します。
まず初めに、商品マスタから地ビール350mlの材料構成がどうなっているか見てみましょう。

この画面の上の段がPOSで販売される商品で、下の段が材料マスタの登録内容です。POSから自動的にデータ連携された直後は、上下が同じ品目で1対1の関係になっていることがわかります。員数が1になっていますから、商品が1個販売されると、材料が1個減るという関係を表しています。
これを、訂正ボタンを押して、次のように変更します。

元々関連づけられていた員数1の材料を削除して、別の材料「地ビール樽」を関連づけています。そして、員数を350ミリリットルにしています。さきほど、「地ビール樽」の在庫管理に使用する社内管理単位をミリリットルに変更しましたので、350mlが在庫から引き落とされるように設定しています。
これで販売される商品と在庫を引き落とす材料の関係は完成です。同様に、他の2種類の商品の構成も修正します。


(3)動作確認
それでは、実際の動きを見てみましょう。
まず、最初に地ビール樽20リットル入りを仕入したことを移動伝票で入力します。

20リットル入りの商品ですが、社内の在庫管理単位がミリリットルなので、移動数は20000ミリリットルで入力しています。単価もミリリットル単価に置き換えています。dPack Basicではこのように入力します。
(参考) 発注納品機能があるdPack Businessでは、仕入先への発注を20リットル入りの樽が「1本」という発注をして、納品時に「1本」で納品すると、自動的に「20000ミリリットル」に換算する便利機能があります。 |
この状態で、入出庫台帳をみると仕入数が記入されています。

それでは、次に、POSで実際に販売してみましょう。
次のように、各商品が1本づつ販売されたとします。

入出庫台帳では出庫数量を自動的に計算して在庫引き落としします。

2行目のPOS[売上]で、350ml + 500ml + 1000mlの合計、1,850mlが在庫から出庫されています。
このように、dPackでは量り売りの在庫数量も理論在庫を推計することが可能です。
ただし、ペットボトルに詰め替える時に溢れてロスが生じたり、蒸発や容器の移し替えによる歩減りなどの誤差は生じてしまいますので、在庫管理の目安としてお使いいただく機能です。