POSで部門や商品を登録するときに注意すべき点がありますか?

はい、とても重要な点が2つあります。

・部門コードを店舗間で重複設定しないこと
・商品コードを店舗間で重複設定しないこと

この2点を必ず守っていただく必要があります。

(1)問題点の現状把握

POSを新しく導入されるときに、商品だけでなく部門を設定することが必須になっています。これは、部門が消費税の税率区分をっ設定する対象となっているためで、その設定を行わないと標準税率と軽減税率の使い分けができなくなっています。

このシステム構造は、2019年10月1日に複数税率の仕組みが導入された際に、商品ごとに設定するのではなく、部門ごとに設定することで各社がシステム設計したためです。具体的には、食品や新聞という部門によって軽減税率の適用がされたため部門で制御することになりました。また、外食産業が標準税率になったものの、持ち帰り商品は軽減税率になったため、これについても部門で区分するのが最も適切であったためです。

さて、物販店も飲食店のどちらも小売店においては、POSを新しく導入されるときにそのような部門を設定しますが、一つの事業会社において、複数の業態が店舗展開されていることは珍しくありません。

例えば、ラーメン店と和食店や食品スーパーと雑貨店など、いろいろな業態展開が考えられます。

このようなケースで、POSの部門設定が次のようになっていることがあります。

食品スーパー雑貨店
部門みそ、醤油、塩ライセンス品、文房具
商品みそラーメン、醤油ラーメン、塩ラーメンぬいぐるみ、タオル、下敷き、鉛筆

このような場合に、POSの部門コード設定および商品コード設定について、次のような設定にされているケースが多いです。

食品スーパー和食店
コード  名称コード  名称
部門01    みそ01    ライセンス品
 商品 100    みそラーメン 100    ぬいぐるみ
02    醤油 200    タオル
 200    醤油ラーメン02    文房具
03    塩 300    下敷き
 300    塩ラーメン 400    鉛筆

そこで、在庫管理をしたい場合に問題が生じます。なぜなら、商品コード(=材料コード)の100番が味噌ラーメンなのかぬいぐるみなのか、コードが重複してしまうために、判別がつかない状態になるからです。

もし、この商品がみそラーメンもぬいぐるみも、他社製品だったときにそれぞれJANコードがついている場合には、この重複はありえないので何の問題もありませんが、自社コードをPOSに付した場合は、上のように重複してしまう設定をされていることがよくあります。

同様に、部門についても部門コードが同じ01で「みそ」なのか「ライセンス品」なのかわからなくなってしまい、dPackに自動連携したときには、あとからデータ連携した方で上書きされてしまいます。

(2)解決するための対策立案

このような状態を解決するためには、業態を横断した共通部門として設定することが理想的ではありますが、業態の内容があまりにも異業種すぎる場合には、共通部門として標準化することは難しいのが現実です。

実際に、前述の例のように、まったく異なる商品群を取り扱っていて品揃えが多種多様に渡る場合には、部門の統合はまず不可能と言えるでしょう。

そこで、部門を分けるために、業態ごとにゾーンを分けて設定していただくことをお願いしています。

上の図は、部門コードを業態別に割り当てて、その上で、商品コードが重複しないように部門コードを先頭2桁に割り当てているという設定例です。

このように設定することで、部門重複がなくなり、売上分析でも部門別の売上高を区分して集計できますし、在庫管理の際にも同一商品に一意(ユニークとも言います)なコードを付して在庫数を集計できますので、運用面で問題なく進めることができます。

(3)そのように設定する理由

ここで、どうしてそのような設定にすべきなのかを考えてみましょう。

まず、自社のオリジナル商品(製品)が新しく開発されたとします。もしその商品にJANコードを付けたとすると、次のようなコードの付番方法が適用されることが決まっています。

【GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)より引用】

例えば、この図の一番右側の(C)7桁事業者コードで見てみましょう。最初の「49」が日本の国番号を表していて、「12345」が事業者のコードです。その次の「67890」が商品に付されたコードで、これによって商品を判別することになります。

このJANコードは、必ず一つの商品に一つのJANコードという関係になっています。中身が同じ商品でも、デザインが違う場合や、6本セットや1ダースなど荷姿が違う場合には、その商品単体とは別のJANコードをつけて、「別々の商品として分けて管理したい」場合に対応します。

例えば、お客様から受注したときに、どの商品を出荷すべきなのか、品違いをしないように設定されているのが商品コードですよね?ですから、別々のモノとして区分管理したい必要に応じて、商品コードは分けられています。

その逆に、まったく異なる商品が同じJANコードで管理することはありえるでしょうか?

極めて例外的なケースで、例えば「この箱の中にあるハンカチはどれでも100円」のような販売方法ではそういうことも考えられますが、それはそもそも「異なる商品」ではなくなっています。

このように、別々の商品として管理したい商品は、商品コードが異なるというのが一般的な管理方法です。

次に、部門についてですが、POSでの部門設定については、1つの商品に対して必ず1つの部門設定ですよね。つまり部門と商品は1対1の関係にあります。

1つの商品が複数の部門に登録されるということは、通常はありません。

ということは、ひとつの事業者の中では、実物商品に対して1つの商品コードが付され、その上に1つの部門コードが付されることになります。

このような理由から、部門と商品はどちらも重複した設定をしてはいけないことがお分かりいただけると思います。

(JANコードについてさらに詳しくお知りになりたい方は、こちらをご覧ください)

施設内に売り場が複数あり、POSも各売り場に設置されていますが、売り場ごとの在庫管理は可能ですか?

店舗や施設の中に複数の売り場が分散していて、それぞれにPOSが設置されているケースではその売り場ごとに「店舗」として運営するのではなく、施設全体を「店舗」として運営されていることがあります。その場合、NECモバイルPOSでは標準料金で3台までPOSを設置でき、さらに別途有償にて台数の追加も可能です。

このような場合、dPackも同様に施設全体を1店舗(=1拠点)としてご利用いただけますが、その場合は在庫管理は「拠点ごと」になってしまうので、商品の在庫数量は全売り場の合計つまり施設全体の合計数になってしまいます。ですので、そのままでは売り場ごとの在庫数量を別々に把握することはできません。

ただし、次の条件のどちらかに当てはまる場合には在庫管理が可能になります。

(条件1)POSの「部門」が売り場ごとに分けられていて、その取り扱い商品が異なる場合
(条件2)同じ商品であっても「部門」ごとに別商品としてPOSに登録されている場合

それでは、その2つの条件を詳細に見ていきます。

(1)POSの「部門」が売り場ごとに分けられていて、その取り扱い商品が異なる場合

dPackの商品マスタは原則としてPOSの商品マスタと自動連携していますから、POSに登録された商品がそのままdPackの商品マスタに自動的に連携されます。そのとき、POSで登録された「部門」を在庫管理に使用することができますので、上記の条件を満たせば部門ごとの在庫管理を行うことが、結果的に売り場ごとの在庫管理と同じになります。

上記の(条件1)の場合には、そもそも各売り場で取り扱っている商品が全て異なっており、同じ商品を複数の売り場で販売することが無いのですから、施設内の商品在庫数を合計したとしても、dPackでは部門ごとにそれぞれの商品在庫数がわかるので問題ありません。

(2)同じ商品であっても「部門」ごとに別商品としてPOSに登録されている場合

少し手間がかかるのが上記の(条件2)の場合になります。その理由は、仕入れた商品と販売する商品のコードが異なる状態で使用するためです。

例えば、POSの商品マスタの設定が次のようになっていたとしましょう。

POS商品マスタ  
POS部門POS商品コード(JAN)POS商品
売り場X2 900001 000001商品A(売り場X用)
売り場Y2 900002 000002商品A(売り場Y用)

POSでは「部門」ごとに商品を登録する必要がありますので、上記の「商品A」は同じものであっても、POSでは商品コードが異なる別の商品として登録しなければなりません。(※ 29から始まる14桁のPOS商品コードは社内だけで使用するインストアコードを表しています。インストアコードはJANコードの無い商品の管理に便利です。詳しくはこちらをご覧ください)

POSとのマスタ自動連携を選ばれた場合(当社が初期設定にて登録します)は、自動的にdPack側でも次のように商品マスタがコピーされます。

dPack商品マスタ   
dPack部門dPackPLUコード(JAN)dPack商品コードdPack商品
売り場X2 900001 00000100000 00001商品A(売り場X用)
売り場Y2 900002 00000200000 00002商品A(売り場Y用)

上記のように、「部門」もJANコード(=PLUコード)も、商品名もすべてPOSとまったく同じデータがコピーされるようになっています。(※ dPack商品コードは自動的に採番されます)

さて、商品Aが仕入された時の仕入先商品コードが「S-12345678」だったとしましょう。この商品を仕入する場合には、材料マスタに次のように登録します。

dPack材料マスタ  
dPack部門dPack材料コードdPack材料
物流倉庫S-12345678商品A(仕入状態)

(dPackでは仕入商品を「材料」と呼んでいます。詳しくはこちらをご覧ください)

さて、この状態で商品Aを100個仕入たとしましょう。在庫が増減したときは必ず移動伝票を入力します。移動伝票を仕入区分で入力すると、在庫照会の画面は次のように表示されます。

dPack在庫照会      
dPack部門dPackPLUコードdPackコードdPack品名仕入売上在庫
物流倉庫(なし)S-12345678商品A(仕入状態)1000100

この状態でPOSで売り上げたとしましょう。例えば売り場Xで20個、売り場Yで10個の売上があったとします。

商品Aは外部の仕入先から仕入したときには商品コード「S-12345678」で仕入していますが、この施設内では売り場に応じて部門を分けて管理しているので、社内専用のコード(インストアコードと言います)で商品登録しています。ですので、このままでは、次のように在庫数がマイナスになってしまいます。

dPack在庫照会      
dPack部門dPackPLUコードdPackコードdPack品名仕入売上在庫
売り場X2 900001 00000100000 00001商品A(売り場X用)020-20
売り場Y2 900002 00000200000 00002商品A(売り場Y用)010-20
物流倉庫(なし)S-12345678商品A(仕入状態)1000100

これを解決するために、物流倉庫から売り場に商品Aを補充するときに「移動伝票」を使って名前を変換してあげなければなりません。具体的には、店舗に補充したタイミングで次のように在庫移動の入力をします。(在庫移動画面で下記の3行を3回に分けて入力します)

dPack在庫移動    
移動区分dPack
部門
dPack材料コードdPack品名移動
補充出庫物流倉庫S-12345678商品A(仕入状態)30(-)
補充入庫売り場X00000 00001商品A(売り場X用)20(+)
補充入庫売り場Y00000 00002商品A(売り場Y用)10(+)

ここで、移動区分として使用している「補充出庫」「補充入庫」は、事前に移動区分として独自に登録し、わかりやすく表示した例になっています。(このように、dPackでは入庫と出庫などのグループ別にそれぞれ10種類の独自区分を登録することができます。)

その結果、次のように正しい在庫数量が表示されました。

dPack在庫照会        
dPack
部門
dPack
PLUコード
dPackコードdPack品名仕入補充
入庫
補充
出庫
売上在庫
売り場X2 900001 00000100000 00001商品A(売り場X用)0200200
売り場Y2 900002 00000200000 00002商品A(売り場Y用)0100100
物流倉庫(なし)S-12345678商品A(仕入状態)100030070

つまり、物流倉庫から店舗に補充されたときに、在庫移動によって商品をPOS用に変換していると考えていただけるとわかりやすいです。このように設定すると、売り場(=部門)ごとの在庫管理が実現できます。

なお、棚卸についても同様に、部門別に棚卸しをカウントすることが可能です。詳しくはこちらをご覧ください。

上記の設例では、仕入品「商品A(仕入状態)」を「商品A(売り場X用)」と「商品A(売り場Y用)」のように売り場別に分けて商品登録し、売り場ごとの在庫数量を管理できるようにしましたが、これとは反対に売り場で異なる商品を販売してもひとつの仕入品の在庫数量として合計して管理したい場合にもdPackは対応しています。詳しくはこちらをご覧ください

また、POSに登録した商品を部門ごとに別商品として登録したものの、売上高はやっぱりひとつの商品として売上合計で見たいという場合にも、dPackの売上分析機能を駆使して実現することができます。詳しくはこちらをご覧ください。