仕入金額を伝票合計で入力することはできますか?

dPackでは仕入先からの納品伝票を、品目ごとに入力することができますが、そのためには食材や商品を材料マスタに事前に登録しておかなければなりません。

一方で、仕入金額だけ管理して支払手続きまではシステム化したいものの、その伝票明細までは必要がなく、合計金額で入力して、その納品事実を記録しておけば良いという運用をすることがあります。

これは、取引を記録している原始証憑はあくまでも仕入伝票(仕入先からの納品伝票)であって、それを保管していることで商取引の証跡となる帳簿書類等の保存の要件を満たしているからです。

dPackでは、そのような簡易的な仕入入力を行うことも可能です。

仕入諸口という品目を材料マスタに登録して、単価変更設定を「金額入力可」の設定にすることで、伝票の明細行または伝票合計の金額を入力することが可能です。

以下に、その画面操作の手順を動画でご説明します。

(1)仕入諸口を材料マスタに登録する

仕入金額だけを入力するということは、伝票に記載された個々の品目ごとに数量や単価を入力しないということですから、その金額だけを入力する設定の材料マスタとして「仕入諸口」という名前で登録します。

メニュー→マスタ管理→材料関係→材料一覧から材料マスタの登録を行います。検索ボタンを押して、「新規登録」ボタンが表示されますので、そこから進みます。

必須入力である「材料コード」と「材料名」を入力します。材料コードは英数10桁です。材料名は仕入金額入力ができることがわかる名称ならなんでも構いません。(例:伝票金額入力、金額のみ、など)

次に、単価変更区分を設定します。

単価変更区分は、仕入入力の時に単価を変更できるかどうかを設定する機能です。これは、例えば社内の購買管理部門が仕入先と単価交渉を行って契約締結していて単価決定権が購買管理部門にあるため、店舗が仕入伝票の入力時に単価を上書きしてしまわないようにする機能です。

その中で、「金額入力可」という設定区分は、例えば食材が不定貫で届けられるため、その仕入金額が重要で、数量や単価は計算根拠にすぎず、円未満端数の四捨五入などで計算が合わないケースなどに使用する設定です。

今回は、その設定を利用して「伝票金額を入力して仕入計上」するように対処します。

(2)仕入諸口を使用できる店舗を指定する

次に、仕入諸口による伝票金額入力ができる店舗を設定しましょう。

このような仕入諸口による伝票金額入力を認める店舗は、一部の店舗だけにすることも可能ですし、スタート時はすべての店舗で使用することも一括設定できます。

材料マスタを登録したら、材料一覧の画面から、もういちど「仕入諸口」の材料マスタを開きます。

すると、こんどは画面上部に複数の設定タブが表示されます。

左上の「仕入諸口」という材料名が表示されていて、その下に「詳細情報」「商品構成」「取扱店舗」「アレルギー設定」「取扱業者」などの表示があります。

この中の「取扱店舗」をクリックします。

初めてこの「仕入諸口」の取扱店舗画面を開きますので、まだ店舗が登録されていない状態です。

ここで、画面下部の「取扱組織登録」ボタンを押します。

ここで、全ての店舗を選択するときには、「すべてのチェックを入れる」を押せば、全店舗を一括登録できます。

これで保存ボタンを押して設定完了です。

(3)移動伝票で仕入金額を入力する

設定が完了したので、次に仕入金額の入力画面です。

購買管理機能を使用されている場合(dPack BusinessまたはPremiumをご利用の場合)には、発注納品機能が使用できますから、仕入入力はそちらから行うことが運用想定ですが、このケースのように仕入金額だけの入力で良い運用を行う場合には、その機能を使用しなくても移動伝票を使用して簡易的に仕入入力が可能です。

(購買管理機能を使用して発注無しで仕入入力から始めたい場合はこちらをご覧ください)

まず、メニュー→在庫管理→在庫移動から入って、

店舗を選んで仕入金額を入力したい店舗を選択します。(ここに表示される店舗は、従業員ごとに表示する店舗を設定できます。通常は自店舗だけが表示されます)

次に、仕入金額を入力する材料を選択するのですが、もし他の材料を登録していなくて「仕入諸口」だけの登録であれば、この画面には最初からその材料しか表示されず、間違うことはないです。

ここで伝票の「追加」をクリックします。

次に表示される移動伝票の画面は、仕入だけでなく全ての在庫移動を入力できる画面で、この画面で「仕入」区分を使った入力を行うことができます。

ここで仕入先も自由に選択できます。

購買管理機能を使用して、その材料マスタ登録時に取扱業者を指定した場合は、購買管理機能の発注および納品の画面では、このような自由入力はできません。発注先を間違えたりしないように、マスタで制御しているからです。けれども。移動伝票はイレギュラーに備えて何でも入力できる魔法の伝票なので、この設定の有無にかかわらず入力が可能です。

(購買管理機能の仕入先取扱材料の設定方法はこちらをご覧ください)

このように、仕入金額だけの入力が可能になります。

移動数は伝票枚数や行数(=品目種類数)を入力するなどの運用ルールを自由に決めると良いと思います。また、仕入先からの納品伝票番号をメモ欄に入力するなどの運用ルールも有効です。

発注入力しなくても納品を仕入入力できますか?

dPack Businessでは購買管理オプションが標準装備されていますので、発注納品の業務をシステム処理することができます。

ところが、発注入力を行わないケースもよくあります。例えば、発注は仕入先が用意しているオンライン発注システムを使用している場合などです。

それ以外にも、電話で発注していたのを入力し忘れていて、納期になって突然、品物が届いたということもあるでしょう。それをわざわざ発注から入力するのは面倒ですね。

dPackでは、そんな場合でも納品処理から仕入入力を開始することができます。

まずその作業手順を動画でご紹介します。

ここからは、その作業手順を画面ごとに解説していきます。

(1)仕入先の選択

dPackでは、店舗ごとに仕入先を事前に登録しておき、「この店舗ではどこの仕入先から仕入できる権限があるのか」を制限して、入力間違いの防止や、仕入先を一覧から選択するだけという利便性を追求しています。

この画面では、従業員「D.モーガン」さんがログインし、その勤務店舗である「阿倍野店」の仕事をしています。

仕入先には、「仕入先Zから大国産業」まで7社が登録されています。この7社が阿倍野店で仕入計上することのできる仕入先という設定をしています。

ここで、大国産業から品物が届いたとしましょう。納品入力のために、赤い枠の部分をクリックします。

大国産業で取り扱っている仕入品が一覧表示されます。

(2)納品伝票の入力

実際に到着した品物が、納品伝票に4行で以下のように記載されていたとしましょう。

行番商品名納品数
1行目ちくわ3個
2行目玉子6パック
3行目キムチ5パック
4行目カレー粉5袋

dPackの画面では、この1行目から順にチェックマークをつけていくことができます。(もし発注から入力していれば、この作業は必要ありません)

ここで、次へボタンを押すことで、伝票入力画面に進みます。

納品伝票に記載されている伝票番号などを入力し、納品数を入力します。

タッチパネルで入力するときには、画面のようにテンキーが表示されますので、iPadなどを使えば、店頭や倉庫などの検品現場での入力が可能です。

これで保存ボタンを押すと、伝票入力は完了です。在庫にも反映しています。

納品一覧をみると、納品済みのところにいま入力した金額(税抜)が反映されています。

(3)単価変更したい場合や金額入力する場合

この画面では、納品単価が自動的に表示されていますが、この単価を修正上書きする運用をしたい場合は、材料マスタで上書き可能の設定(単価変更可)を行うことができます。単価ではなく納品金額をそのまま入力する設定(金額入力可)にすることも可能です。

(4)納品数量の単位と在庫管理単位が異なる場合

納品数量と社内在庫管理の単位が異なる場合は、仕入先ごとにその設定ができます。

例えば、牛肉のようにパックで発注や納品を入力するものの、在庫管理はグラムで計測している場合に、次のように設定します。

この設定例では、発注と納品の両方で「パック」での入力ができることと、1パックの納品があったときに、在庫管理では入庫2000グラムで入庫するように設定されています。

こ画面は、材料マスタの上部にあるタブ「取扱業者」を選択してメンテナンスすることができます。

(5)バーコードラベルを発行する場合

各種商品(=材料)には、仕入先からJANコードがついていないものがあります。在庫管理のために店頭商品にはバーコードを貼りたい場合に、インストアコードをつける場合もあります。

そのときに、仕入先から品物が届いて入庫する前にそのバーコードシールを貼っておきたいので、この納品作業をしたときにバーコードシールを発行することができます。

いま、先ほどの仕入品のうち「玉子」と「キムチ」をバーコードシールの発行する設定をしてみました。

こうすることで、納品入力画面を表示したときに、自動的に「ラベル発行」のチェックが入るようになります。

この納品伝票にはバーコードシールを発行する商品が含まれてますよというお知らせでもあります。

この画面から納品登録すると、次の画面で表示されるバーコード発行を押します。ラベルシートの種類は過去に使用したものを再表示しています。発行枚数も自動的に納品数量になっていますので、そのまま発行ボタンを押すだけです。

この画面では、ラベルシートの途中まで使用したものでも、途中から印刷できるように、印刷開始位置を指定することができます。

次の画面からEXCELでバーコードを出力したファイルをダウンロードできます。

仕入先から入荷する前に先にバーコードシールを準備しておきたい場合には、発注入力から行うことで、これと同様に入荷予定からバーコードを発行することが可能です。

バーコードラベルの印刷開始位置を「2段4列」と指定した場合は以下の通りです。

dPack dx-EDIの発注から納品までの画面操作について

dPack Businessをお使いのお客様は、仕入先とのデータによる発注仕入の機能「dPack dX-EDI」を有償オプションでご利用いただくことができます。

dPack dx-EDIには、発注仕入データファイルを交換するFTP EDIと、仕入先がインターネットを通じてブラウザから受注データを取得するWeb EDIの2通りが選択できます。

ここでは、仕入先がインターネットブラウザで受注、ピッキング、出荷まで行うWeb EDIの操作方法を説明します。

設例:

(発注側=dPack Businessユーザー)
DMCデモ株式会社 阿倍野店

(受注側=dPack dX-EDIユーザー)
えびすや

(1)店舗からの発注

店舗から、発注権限のあるユーザーがログインして、仕入先を選んで発注します。。

仕入先にはあらかじめ発注可能な品目(その仕入先の取扱品目)が登録されているので、その中から選んで発注数量を入力するだけです。

(2)仕入先の受注と出荷作業

仕入先の「えびすや」では、dPack EDIの画面から受注内容を照会することができます。その画面からCSVデータをダンロードして、自社の倉庫管理システムへ出荷指示データとして取り込むことができます。

倉庫管理システムがなくても、倉庫の在庫置き場所別にピッキングリストを印刷することができるので、簡易的な出庫管理が可能です。

ここで、材料名「昆布だし」が店舗から4袋の発注があったにもかかわらず、倉庫に残り3袋しかなかったため、その旨を店舗に相談して、とりあえず3袋だけ納品して欲しいと合意したとします。

ですので、発注金額と出荷金額が異なることになりました。

(3)店舗の納品処理

EDIによって、店舗と仕入先はデータでつながっています。仕入先から出荷された情報はすぐに店舗でそのまま納品処理できます。(実際には運送会社が運んでいる間は納品待ち状態です)

店舗の納品担当者がログインすると、過去に発注した情報と、仕入先から納品される入荷予定の情報が一覧できるようになっています。

納品担当者は、実際に到着した品目を納品伝票で検品して、納品したことを画面上でデータ確定させるだけで、納品と仕入の作業が完了します。

これで店舗側の納品処理は完了し、在庫に入庫計上されます。

(4)仕入先の進捗管理

仕入先では、出荷した商品が店舗に問題なく到着したか、その納品処理が処理されたかを知る必要があります。

dPack dx-EDIでは、出荷明細照会の画面で、その出荷済みの伝票ごとにどこまで処理が進んでいるかが確認できます。

店舗での処理から本部での確定処理、経理部門での締め処理から支払処理までの進捗状況がこの画面から確認することができます。

店舗側で納品処理が行われた時に、単価の間違いや数量の不足などのイレギュラーが生じている場合に、納品伝票が修正されていることがあります。その場合には、伝票確認画面で仕入先からもその内容が確認できます。

(5)仕入先の照合と入金予定

店舗側で締め処理が行われ、支払が確定されると、仕入先の入金予定として表示されます。

店舗側の本部にて支払い確定したあと、仕入先では支払明細書(請求書)をPDFファイルでダウンロードでき、その情報を伝票単位で画面にて確認することができます。支払明細書はインボイス対応していますので、店舗側では仕入先からの適格請求書として使用することができます。(国税庁:インボイス制度に関するQ&A 問88

仕入先は請求書の発送が必要なくなりますし、店舗側では納品事実を仕入先に連絡することで、納品書と請求書の照合作業から解放され、大幅な合理化が可能です。

仕入先に発注する品目(材料)はどのように登録しますか?

dPackでは、仕入先(=発注先)に発注することができる品目(材料)を、仕入先ごとに設定することで、間違って発注しないようにする機能が採用されています。例えば「鉛筆A」という品目を「仕入先X」と「仕入先Y」の両方に仕入品目として設定(関連付け)することができます。

まず初めに、発注業務を行う前に、仕入先との関連付け「取扱材料」登録を行う必要があります。

また、店舗にも発注権限を持たせる場合や納品間違いを防止するため、「取引店舗」の登録も必要です。

ここでは、仕入先と材料の関係を説明します。

(1)仕入先と材料マスタを関連づける

小売店のお客様ではPOSとdPack商品マスタとdPack材料マスタが自動連携する設定を希望され、当社がその環境設定を行なっています。ですので、材料マスタまでは自動的に登録されていますから、ここでは仕入先と材料のひもづけを行う作業を行うだけです。(自動連携していない設定をお使いの場合は、材料マスタの登録が先に必要です)

(商品マスタと材料マスタの関係について詳しくはこちらをご覧ください)

「マスタ管理」>「発注関係」>「仕入先マスタ一覧」の順に進み、取扱材料を登録したい仕入先を選択します。

仕入先マスタ画面の、「取扱材料」タブを選択します。(設定で取扱商品と表示されているケースがあります)

すでに登録された取扱材料が一覧表示されていますので、これに新しく材料を「新規登録」していきます。

すでにPOSから自動連携された材料マスタが存在していますので、材料マスタの一覧が表示されます。ここから新規登録したい材料を選びます。

ここでは、「ウーロン茶」を選択してみましょう。

この画面で、仕入先に発注する時に必要な情報を設定していきます。

(2)発注納品の数量単位の設定

dPackでは、仕入先に発注するときに使用する情報を追加で登録することができます。

商品と材料が1対1の関係にあって数量単位が同じときは、次のような設定になります。

このように、「管理単位=本」「発注単位=本」「納品単位=本」というのが最も基本的な設定になります。これらの数量単位の関係は以下のとおりです。

  • 管理単位=社内の在庫数量をカウントする単位
  • 発注単位=仕入先に発注する数量単位
  • 納品単位=納品書に記載されている数量単位

例えば、発注は1ダースで発注するものの、在庫は1本単位で管理したい場合のように、発注単位と管理単位が異なるというケースがあります。その時に、この画面で複数の単位を登録できるようになっています。

例えば、この設定例では、仕入先への発注は「ケース」と「本」の両方で発注することができ、「ケース」で発注した材料が納品されたときは、社内での管理単位は「本」ですので、1ケースを10本として入庫させることができます。

また、POSから自動連携した商品名が「ウーロン茶」であっても、仕入先への発注書に表示するときには「Z社特製黒ウーロン茶」と仕入先の商品コードで発注しないと、品違いが起きるかもしれません。dPackでは仕入先での呼称を正確に発注できるように、仕入先へ伝えたい情報を追加することができます。

(これが、商品マスタと材料マスタを区別して設計していることのメリットの一つです。)

次に、ここで確認ボタンを押すと店舗で使用する数量単位が選択できるようになります。

この材料はケースと本で発注することができますが、阿倍野店ではケースによる発注しか認めないという設定ができます。

このように、全社的な発注単位と納品単位のうち、店舗によっては使用する数量単位を限定することができます。

この設定まで行うと、仕入先別の取扱材料の登録は完了です。

(3)取引店舗の設定

dPackでは、その材料がその店舗で発注や仕入をしても良いかどうかが設定できます。これは、上に述べた「店舗で使用する発注単位と納品単位」を設定する前に、そもそもその材料をその店舗で取り扱ってもよいのかどうかを制限する機能です。

ですが、POSとの自動連携をされている場合には、そもそもその店舗で販売することを許可しているはずですから、自動連携したときに「取引店舗」に自動連携されるようになっています。

上に述べた「店舗で使用する発注単位と納品単位」の欄に、初めから「阿倍野店」が表示されていたのは、その自動連携が行われていたことで設定作業を省略できるようになっていたからです。