POSで登録された異なる商品を売上分析では同じ商品として集計したい

店舗で使用するPOSでは部門ごとに商品を登録することで、商品を探し出すのを容易にしたり打ち間違いを防止するように設定されることが多いです。その「部門」を使って、例えば、売り場ごとのメニューを切り替えたり、ランチメニューとディナーメニューを分けたり、仕入先として部門を使用したりと、POSの「部門」はいろいろな用途に使用されることが多いです。

ところが、POSの商品マスタでは1つの商品に対して1つの部門という1対1の関係で登録する必要があるので、もし複数の部門で同じ商品を販売したい場合には、それぞれの部門に同じ商品を登録しなければなりません。

ところが、経営管理上は、そのような別々に登録された商品を、同じ商品として集計し、売上数量や売上高を管理したいということがよくあります。

具体的な例として次のようなケースを考えてみます。

部門商品名販売価格(税込)
ホールビール中(ホール)500円
テラスビール中(テラス)600円
カウンタビール中(カウンタ)450円

このように、同じ商品であっても時間帯や提供場所などで販売価格も異なるというケースに対応するために、販売価格が異なる複数の商品として登録されていることもあるでしょう。

NECモバイルPOSではこのように表示されます。

このままでは、次のように、dPackにマスタが自動連携された時に、3つの別々の商品としてマスタデータ連携されてしまいます。

また、売上分析で商品別売上の集計を照会すると次のように商品別に表示されます。

さて、売上分析の目的によっては「ビール」の合計を見たいという場合もあります。その場合には、dPack側で「商品分類」を追加して、売上分析を商品分類で集計された状態で表示することができます。その関係を先ほどの図で表すとこうなります。

部門商品名販売価格(税込)商品分類「集約商品」
ホールビール中(ホール)500円ビール
テラスビール中(テラス)600円ビール
カウンタビール中(カウンタ)450円ビール

(1)商品分類マスタを使用する準備をする

商品分類は、商品分類マスタでユーザーが任意の名称で登録できる分類です。例えば、ブランド、色、サイズなどの商品の規格について登録したり、異なる商品を集計したいときに使うよう設計されています。まずはこの「商品分類」を使用する準備をします。ユーザーが自由に設定できる分類は5種類までです。

次の例では、あらかじめ「予備」という名称で5つ目に初期設定されている商品分類を使用して、「集約商品」として使用できるように設定しています。

ここでは、商品分類名を「集約商品」という名称で登録しました。この画面で「使用区分」を「使用」に変更することで、商品マスタ詳細の画面上に、「集約商品」という入力欄が新しく追加されます。

ここに、集約したときの商品名を入力します。この例では「ビール」という名称を登録しました。同様に、他の2つの商品についても集約商品に「ビール」と登録しておきます。

これで、異なる複数の商品を同じ商品分類で集計する準備は完了です。

(2)商品別売上分析の表示項目を追加する

dPackの商品別売上分析は、上記(1)で設定した「商品分類」で集計表示することができます。しかし、商品マスタに「集約商品」を登録しただけではまだ集計されず、元の商品名で集計されたままです。

この画面では、表題部に「商品内訳」と表示され、その下に「部門」「商品コード」「商品名」の3項目が表示されています。このように、今はその3項目が集計単位になっているため、各商品ごとの数量合計と金額合計が表示されているのです。(上の例では複数の売上レシートの情報が集計されています)

そこで、この「商品内訳」の表示を、その3項目ではなく、「集約商品」に変更して集計すれば、「ビール」という集約商品名で合計することができます。まず確認のために「集約商品」を表示してみましょう。

売上分析画面では、ユーザーが表示したい項目を自由に制御することが可能です。検索条件の右端にある「+」を押して、検索条件設定の画面を開きます。

そこで、「表示する項目の設定」を開いて、「商品内訳」の「集約商品」を表示するチェックを入れて保存すると、「集約商品」が表示されます。

このように、「集約商品」の「ビール」が表示されました。

(注)メニューの短縮表示について

会社名の左側にあるメニュー表示ボタンを押すと、メニューを短縮表示できます。

そのとき、売上分析の表示が、右端が空白になるときは、再表示を押してください。

(3)商品分類「集約商品」で集計する

ここまでの作業では、集計したい集約商品名を正しく登録できているかを確認しただけでした。次に、その「集約商品」で集計するように変更します。

dPackの売上分析は、項目の集計ルールとして

  • 分析画面で表示されている項目で合計して表示する

という機能があります。これを使って「集約商品」で集計してみましょう。

さきほどと同じように、「表示する項目の設定」で、

  • 部門
  • 商品コード
  • 商品名

のチェックを外します。

合計の対象が「集約商品」だけになって、表示されることが確認できました。

この「表示する項目の設定」は、次にこの画面を開いた時にもその設定が保存されていますので、毎回設定を行う必要はありません。

(4)商品マスタのメンテナンスの便利な方法

このように、商品分類に設定した「集約商品」という分類で集計することができましたが、このように部門ごとにバラバラに登録された商品のひとつひとつに商品マスタの画面を開いて「集約商品」の名称を登録することは大変かもしれません。

dPackは基本的にPOSからマスタ情報を自動連携していますが、この商品分類の「集約商品」はdPack上にだけ存在するマスタ項目であるので、POSに商品を登録しただけでは追加されず、dPackの商品マスタにも入力しなければならないのです。もし、このような集約したい商品がたくさんある場合には、dPackの商品マスタを全商品の画面を開いて入力するのは大変です。

そこで、dPack商品マスタにはEXCELファイルでのダウンロードとアップロードでマスタメンテナンスできる機能があります。

その詳しい操作方法についてはこちらをご覧ください。

dPackには商品マスタと材料マスタがありますが、どのように使い分けますか?

dPackでは、経理処理で売上と仕入を区別して処理できるように、

売上で使用する品目を「商品」

仕入で使用する品目を「材料」

という名称で、区別して管理することができるようにしています。これは日本のほとんどの企業が、経理処理において三分法で処理しているため、その商習慣に沿って設計しています。

この設計によって、セット商品などの組み合わせ商品とバラ商品の在庫管理が実現できています。(セット商品の登録と在庫管理についてはこちらをご覧ください)

それでは、まず売上で使用する「商品」について説明します。

(1)商品マスタ 〜売上のために使う

メニューから「マスタ管理」>「商品関係」を選択すると、商品マスタに関係するメニューが表示されます。この画面にある「商品一覧」メニューが商品マスタの入り口で、その主な機能は次のとおりです。

  • 売上数や金額を集計することができる
  • POSと自動連携することができる
  • 販売単価(売価)を持たせることができる
  • 部門などで集計することができる

このように、POSとの連動や売上分析に使用するのが「商品」です。

商品一覧メニューを押し、次の画面で検索ボタンを押すと、次のように「商品マスタ一覧」が表示されます。

この画面では、POSから自動連携された商品が一覧表示されています。

例えば、この画面の「PLUコード」は、POSで登録されたJANコード(POSでは「商品コード」と呼んでいます)が自動連携されて表示されています。

ここでPOSの画面を見てみましょう。

POSで登録された情報とまったく同じ内容が、dPackの商品マスタに自動連携されています。

つまり、dPackの商品マスタは、

売上に関する集計をしたり分析するのに使用する=商品マスタ

と、覚えてください。

POSと自動連携している場合には、dPackの商品マスタは、ほとんど変更することがありません。POSでしっかりと正しいデータが登録されていれば、dPackではそのまま流用することができます。

(2)材料マスタ 〜仕入のために使う

メニューから「マスタ管理」>「材料関係」を選択すると、材料マスタに関係するメニューが表示されます。この画面にある「材料一覧」メニューが材料マスタの入り口で、その主な機能は次のとおりです。

  • 在庫を管理することができる
  • 仕入先に発注することができる(dPack Businessの機能になります)
  • 仕入単価を持たせることができる
  • 最終仕入原価法または月次総平均法で棚卸資産評価額を計算することができる

このように、仕入先との取引や在庫の管理に使用するのが「材料マスタ」になります。

材料一覧メニューを押し、次の画面で検索ボタンを押すと、次のように「材料マスタ一覧」が表示されます。

この画面では、発注にも使用する仕入単価や在庫数量を数えたときの計測単位(個やグラムなど)が表示されています。

つまり、dPackの材料マスタは、

発注仕入や在庫に関する集計や資産評価に使用する=材料マスタ

と、覚えてください。

(3)自動連携 〜面倒なマスタメンテから解放されるために

ところで、この画面例では、ほとんど商品と同じ品目が、表示されていますよね?これは、売上で使用する「商品」と、仕入で使用する「材料」がほとんど同じだからです。

その状態を、「商品と材料が1対1の関係にある」と呼んでいます。

これは小売店でよく見られるケースですが、それでも、仕入先への発注品名と売上でレシートに表示される品名を異なったものにしたいという場合もあるでしょう。そういう使い方に対応するために、商品マスタと材料マスタに区別しています。

ところが、その状態だと「商品マスタはPOSと自動連携だけれど、材料マスタは手入力で登録」することになり、とても手間がかかりますよね。ですので、

自動連携は商品マスタだけでなく、材料マスタにも自動連携できる

この機能は、dPackの初期設定で、お客様の希望により当社がシステム設定します。

小売店では、ほとんどの商品が材料と1対1の関係にあるので、この設定をあらかじめ行うことで材料マスタの登録メンテナンスからも解放されることになります。

商品と材料の関係が1対2以上の関係になる場合を「セット品」や「加工品」として管理したい場合は、こちらをご覧ください。

セット商品を販売して複数の商品(=材料)の在庫を減らすにはどうすればよいですか?

いくつかの商品を組み合わせてセット商品としてPOSに登録して販売するケースがよくあります。dPackではこのようなケースにも対応できるよう「材料構成」という機能があります。

ここでは、「売上管理する商品と在庫管理する商品が異なるケース」の説明をします。

(1)POSと自動連携している場合

もし、環境設定で「商品マスタと材料マスタを自動連携する」設定(お客様と相談の上、当社が初期設定します)をしている場合、POSで登録された商品がそのままdPackの商品マスタと材料マスタに自動連携されています。

POSで「セット商品」を登録したときのdPackのマスタ類との関係は以下のとおりです。

POSでの設定dPack商品マスタdPack材料マスタ
「セット商品」「セット商品」「セット商品」

このように、自動連携しただけでは、まったく同じ「セット商品」がすべてのマスタに自動連携されます。このままでは、在庫を管理している「dPack材料マスタ」で在庫を減らすことができません。例えば実際にやりたいことは、

POSでの設定dPack商品マスタdPack材料マスタ
「セット商品」「セット商品」「商品A」
「材料B」

のように、セット商品が販売されたら、材料マスタに登録された品目の在庫が減少するようにしたいです。

この後者のマスタ設定であれば、

  1. POSで「セット商品」が販売されたら、
  2. dPack商品マスタの「セット商品」を売上したと記録し (←売上の管理)
  3. dPack材料マスタの「商品A」「材料B」を在庫から減らす  (←在庫の管理)

という内部処理が自動的に行われます。

この内部処理の2.と3.の関係を実現しているのが、「材料構成」です。

「材料構成」画面は、商品マスタの上部タブにある「材料構成」を選択すると表示することができます。

「材料構成」の画面で、商品と材料が2行に分かれて表示されています。これは、上段の「商品」が販売された時に、下段の「材料」を員数1だけ減少させるという仕組みを表しています。これは他の商品と同じように「商品と材料が1対1の関係にある」ことを表しています。

前述したように自動連携で「セット商品」が材料として登録されて1対1の関係になっています。このままでは、在庫引き落としが「セット商品」という名前の材料で行われてしまいます。ですので、セット商品の時だけはこの「1対1の関係」を解消して、新しく「1対多」の関係を設定することで、在庫引き落としを自動的に行うことができます。

まず、「訂正」ボタンを押して、在庫引き落とししたい材料を登録するために「追加」ボタンを押します。

材料マスタの材料が一覧表示されます。

材料マスタの一覧から、登録したい材料をチェックで選択して「選択」ボタンを押します。(ここでは、高砂昆布が「商品A」松茸昆布が「材料B」と例示しています)

すると、先ほどの「材料構成」画面で、新しく2つの材料が登録されていることが確認できます。このとき、セット商品に含まれる個別の材料の個数も「員数(いんずう)」として登録します。

例えば、1つのセット商品に3つの材料がセットされる場合には員数は3です。(例えば「商品A」が1個に「材料B」が3個の詰め合わせという場合に使います)

最後に、最下行の材料「セット商品」は不要ですので、右端の削除チェックを入れて、「保存」ボタンを押します。

これで、商品「セット商品」が販売されると、材料「高砂昆布」と「松茸昆布」が1つずつ在庫引き落としされる設定が完了です。

ご注意
お客様と相談して最初に行う環境設定によっては、商品マスタから材料構成を修正すると、上記のように材料のPLUコード(JAN)が表示されなくなることがあります。これは「材料」が「PLUコード(JAN)」との関係を失った状態ですので、このままの状態だと、バーコードを使用した棚卸が出来ません。

その場合には、POSの商品マスタが更新されたとき(例えば、新しい商品が追加になった時など。何も変更せず保存ボタンを押すだけでもOK)に、表示されなくなったPLUコードが、もう一度POSと自動連携して表示され、バーコード棚卸が出来るようになります。(下図参照)

(2)POSに登録されていない材料の引き落とし

セット商品には、個別の商品だけでなくその包装容器も必要になる場合があります。また、お弁当などの場合には食材だけでなく調味料や弁当箱などの消耗品も在庫から引き落としたいというケースもあります。

ところが、包装容器や調味料などは、POSに登録されることはほとんどありませんので、上記の自動連携では材料マスタに自動連携されていません。

その場合、次のように材料マスタだけに登録することで、その在庫を管理することができます。

POSでの設定dPack商品マスタdPack材料マスタ
(登録なし)(登録なし)「包装容器」

次の設定例は、タルタルソースと弁当箱(タッパ)を在庫から引き落とすために材料構成を設定した事例です。

このように、dPackでは材料マスタに消耗品を登録することで、消耗品の在庫管理も可能になります。

2種類の異なる商品を販売したときに同じ商品(=材料)の在庫を減らすにはどうすれば良いですか?

仕入先から仕入れた商品(dPackでは材料といいます)は1種類であるのに、その分量や個数で2種類以上の商品としてPOSに登録して販売する場合があります。

例えば、店内で飲食する商品と、テイクアウトで持ち帰る商品がPOSにはそれぞれ登録されており、販売価格が異なっている場合に、そのどちらが売上計上されても同じ商品(材料)から在庫を引き落としたいというケースがあります。

ここでは、次のような例で設定してみましょう。

/店内で提供する商品テイクアウトで提供する商品在庫管理している商品(材料)
商品名JB-1100JB-900JB-900
販売価格¥1,100¥900
部門ドリンクテイクアウト

次の動画は、その例を使って各種マスタを設定する操作方法を説明しています。

ここからは、動画の画面を使って、作業内容を順を追って説明します。設定したいマスタ登録内容は以下のとおりです。

POS部門POS商品名dPack商品名dPack材料名
ドリンクJB-1000JB-1000JB-900(←ここを説明します)
テイクアウトJB-900JB-900JB-900

まず初めに、POSでJB-1100とJB-900を、異なる部門で登録します。

この情報は自動連携でdPackにコピーされています。

dPack商品のJB-900が販売された時には、Pack材料のJB-900の在庫を引き落とす設定がされていることを確認してみましょう。

「商品詳細」の「材料構成」タブを選択して、材料構成がどうなっているのか確認します。

商品JB-900と材料JB-900が1対1の関係で関連づいていることが確認できました。

さて、ここでやりたいことは商品JB-1100が販売された時にも、材料JB-900の在庫を引き落としたいわけですから、商品JB-1100に関連づいている「材料構成」を修正します。

まず、修正前の商品JB-1100の材料構成を確認してみると、材料JB-1100と関連づけられています。

「追加」ボタンを押して、材料JB-900を追加して、材料JB-1100を削除するように修正します。

JB-900の員数(いんずう)に1を入力してから、「保存」ボタンを押します。

これで、商品JB-1100が販売された時に、材料JB-900の在庫から引き落とされる設定は完了です。

POS部門POS商品名dPack商品名dPack材料名
ドリンクJB-1000JB-1000JB-900
テイクアウトJB-900JB-900JB-900

JANコードの無い商品を管理するにはどうしたらよいですか?

店舗で販売する商品に、ボトルに入った飲料を量り売りするケースや、元々の仕入先からJANコードが登録されていない商品などが存在することがあります。このような場合でも、POS上で売上計上する時に、JANコードを使って売上登録したい時の設定方法をここで説明します。

(1)インストアコードを自動的に採番する

日本国内の製品にはほとんど49や45から始まるバーコードが貼付されています。これをJANコードと呼んでいます。

そのJANコードの規格を使って、社内だけで通用するローカルなJANコードを使用することも認められています。それを「インストアコード」といい、20〜29で始まるバーコードを使うことが認められています。(インストアコードは社内だけの使用に限られますので、他社では使用できません)

NECモバイルPOSのポータルサイトで、商品マスタを登録する時に、商品コードを入力する欄がありますが、この入力欄を空白にして保存ボタンを押すと、自動的にインストアコードを採番してくれる便利な機能があります。

この機能を使用すると、POSに商品を登録したときに自動的にインストアコードが付され、自動連携している場合には、dPackにもその情報が自動的にコピーされます。

(2)インストアコードのメニュー表を印刷する

インストアコードを使用してバーコード管理するケースでは、商品そのものにバーコードのシールを貼り付けることができないことがほとんどです。

従って、バーコードを一覧で印刷した表をレジなどに用意しておき、商品のバーコードを読み取る代わりに、バーコード一覧表から読み取る手順がよく行われています。

dPackではこのようなバーコード一覧表を「メニュー表」としてEXCELファイルで印刷できるようにしています。

このように、JANコードが無い商品でも販売することができますし、在庫管理するためにインストアコードで管理することもできます。

例えば、大きなボトルに入っているジュースを紙コップに入れて販売したい場合に、ジュースの在庫を減らすだけでなく、消耗品である紙コップも在庫から引き落としたいというケースもあるでしょう。

そういう場合は、dPackでは「材料構成」を使って設定することで実現することができます。

詳しくはこちらをご覧ください。